三峰山と霧氷の一日
今日は、ずっと気になっていた霧氷バスで三峰山へ出かけました。
出発する一週間ほど前まで、正直なところ少し落ち着かない気持ちがありました。霧氷バスは事前予約制で、すでに満席になっていましたし、もし雪がなかったとしても、もう別の日に取り直すことはできません。車で行くという選択肢もありましたが、費用のことを考えると気軽ではなく、どこか賭けのような気分で当日を迎えました。
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当日の朝、バスを降りた瞬間、空気の冷たさで「あ、大丈夫そうだ」と思いました。
山は思っていたよりもしっかり冬の中にあって、地面には雪が残っていました。風が吹くたびに、木々の間で細かな氷がきらきらと光って見えます。
その景色を見たとき、理由はよくわからないけれど、自然と気持ちが少し軽くなりました。

アイゼンをつけて歩き始めると、足元の感覚はやはりいつもの登山とは違いました。
道そのものは難しくありませんでしたが、雪の上では一歩一歩を確かめるように進む必要があります。普段は意識しない筋肉を使っている感じがありましたが、その分、歩くことだけに集中している時間が心地よく感じられました。
静かな雪山の中で、聞こえるのは自分の呼吸と足音だけでした。

展望台に着いたころ、風はかなり強くなっていました。空や周囲の山々を見渡せるような景色はなく、一面白い世界が広がっていました。
でも、「何も見えない」という感じではありませんでした。木々には霧氷がびっしりとついていて、それがまるで白い花が咲いているように見えたのです。
空や遠くの山は見えなくても、その景色だけで、しばらく立ち止まって眺めていたくなりました。

途中、雪で小さな雪だるまを作ったり、ハートの形やアヒルの形を作ったりして、少しだけ遊びました。
山の上で食べた昼ごはんは、いつものインスタント麺に卵とちくわを入れただけの簡単なものでしたが、冷えた体に温かいスープがじんわりと染みていく感じがして、それだけで十分でした。

下山後には、霧氷まつりで振る舞われていた温かいコーヒーを飲みました。一口飲んだだけで、体の力がすっと抜けていくのがわかります。
スタンプカードを受け取りながら、「また来年も来られたらいいな」と、ごく自然に思いました。

青空を見ることはできませんでしたが、久しぶりの雪山はやはり特別でした。
歩きながら、2021年に初めて雪山に登ったときのことを思い出していました。あのときと同じように雪を踏みしめて歩く感覚が、静かに重なってきます。
景色よりも、体の感覚や、そのときに感じた気持ちのほうが、この日の記憶として強く残っている気がしました。
来年もまた、同じ季節にこの場所を訪れることができたらいいなと思いながら、山をあとにしました。