『図解まるわかり PMO・PMのきほん』を読んで整理できたこと
『図解まるわかり PMO・PMのきほん』(西村泰洋 著/相川正昭 著)を読みました。DX化実現の鍵となるPMOとPMの役割を対比しながら理解できる、という副題の通り、非常に整理された内容でした。
読み始めたきっかけは、会社の上司から手渡されたことでした。「一度読んでみるといいよ」と言われた一冊です。当時の私はPMやPMOという言葉を断片的に知っているだけで、正直、そこまで深く考えていませんでした。
けれど読み終えた今、単に知識が増えたというよりも、「物事をどう捉えるか」という視点が少し変わった感覚があります。
本書でまず明確に示されるのは、PMとPMOの役割の違いです。PMは意思決定を行い、最終責任を負う存在。PMOはその周囲で進捗、リスク、品質、コミュニケーションを管理し、プロジェクトを安定的に前進させる存在。
この構造を1:nで説明している部分が、とても印象に残りました。一人が方向を決め、複数が構造を支える。
私はこれまで、プロジェクトを「誰が決めるか」という軸で見ていた気がします。けれどこの本は、「誰が構造を整えているか」という軸を見せてくれました。
特に心に残ったのは、PMOは“グレーゾーンを埋める役割”だという考え方です。担当が曖昧なまま放置されがちな領域。しかし、そこが詰まると全体が止まる。
会議の設計、情報の粒度調整、ステークホルダー間の温度差の吸収。どれも華やかではありませんが、確実に前進を支える作業です。
読みながら、自分はどちらかというと「見える成果」に意識が向きがちだったことに気づきました。完成した機能、達成したマイルストーン。けれど実際にプロジェクトを動かしているのは、その手前にある無数の調整なのだと、改めて感じました。
DXについての章も深く印象に残っています。ITプロジェクトは成果物をつくる活動。一方DXは、複数のプロジェクトを束ねながら組織を変革していく“プログラム”です。
この違いを理解したとき、「終わりがある仕事」と「終わりを前提にしない仕事」の差を意識するようになりました。DXは完成ではなく、変化を継続できる構造をつくること。
つまり、管理とは固定することではなく、変化に耐えられる状態をつくることでもあるのだと感じました。
また、QCD、WBS、Gate Check、EVM、PDCAといった手法は、単なる形式ではなく、「曖昧さを可視化するための道具」だという説明も腑に落ちました。
管理とは、人を縛ることではない。管理とは、不確実性を減らすこと。
この一文が、今回の読書で最も強く残った部分です。
私はこれまで、管理という言葉に少し硬い印象を持っていました。自由度を下げるもの、制約を増やすもの。しかし本書を通して、それは誤解だったかもしれないと思いました。
構造があるからこそ、判断が早くなる。基準があるからこそ、議論が整理される。枠組みがあるからこそ、創造性も守られる。
そしてもう一つ、学んだことがあります。それは、立場よりも視点のほうが重要だということです。
PMOという肩書きを持つかどうかよりも、全体を俯瞰し、層で問題を捉え、背景を構造で整理できるかどうか。
プロジェクトの課題を、「現象」ではなく「どの層で起きている問題か」として考える。戦略レベルなのか、プログラム設計の問題なのか、単なるタスク管理の遅れなのか。
この“層で見る視点”は、今後どんな仕事をする上でも大切にしたいと思いました。
読み終えて、劇的に何かが変わったわけではありません。けれど、自分の中に一本の軸が増えた感覚があります。
目の前の作業だけを見るのではなく、それがどの構造の中にあるのかを考える。
『図解まるわかり PMO・PMのきほん』は、管理手法を学ぶ本でありながら、同時に「考え方を整える本」でもありました。
知識としての理解以上に、物事を構造で捉える姿勢を学べたことが、今回いちばん大きな収穫だったと思います。