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一緒に頂上へ行けなかった日

2026年02月22日 10 views
一緒に頂上へ行けなかった日

会社の同僚が、この三連休は福岡を案内するよと言ってくれました。登山は初めてだけど、お寺や神社が好きだからと選んでくれたのが宝満山でした。「山が好きなんでしょ?」と私のことを思ってくれたことが、まず嬉しかったです。

登り始めはおしゃべりしながら順調でした。初めての山なのに、思っていたより軽やかで、私も少し安心していました。

でも七合目手前で、同僚のふくらはぎが急に攣ってしまいました。顔が歪むくらい痛そうで、ここで無理はできないとすぐ分かりました。「先に行ってきていいよ、ここで待ってるから」と言われたとき、少し迷いました。本当は一緒に頂上に立ちたかったです。でも山では、気持ちより安全が先です。

そこから一人で山頂へ向かいました。この日は人が多くて、頂上はにぎやかでした。私はカロリーメイトをかじりながら景色を見て、写真を撮って、「こんな景色だよ」と送りました。隣にいない相手に、景色を共有する時間でした。

下山して合流したあと、帰り道で「石窯カフェ TOBARI →」という看板を見つけました。検索すると、車やバイクでは来店不可、登山者専用と書いてあります。その言葉を見た瞬間、なぜか強く惹かれました。限定と書いてあるわけでもないのに、「登山者専用」という響きに特別感を感じてしまう自分がいました。

焼きたてのピザは、石窯の香りがほんのりして、表面が小さな火山みたいにふくらみます。四種チーズとはちみつの組み合わせは、甘さと塩気がちょうどよくて、思わずコーヒーをおかわりしました。うさぎテーマのお皿や小物も可愛くて、山の中にいることを一瞬忘れるような空間でした。

お腹いっぱいで再び歩き出したら、同僚の脚はまた固くなってしまいました。歩いては休み、また歩いては座る。予定通りとは言えないペースでした。

でも、私はそのリズムをどこか心地よく感じていました。頂上に一緒に立てなかったことよりも、無事に下山できたことのほうが大切だと、自然に思えたからです。

山は、速さや到達よりも、途中の選択の積み重ねなのかもしれません。一人で見た頂上の景色と、二人で歩いた時間は、別の種類の記憶として残りました。

よく歩いて、よく食べて、よく笑った一日でした。そして私は、自分が誰かと山を歩くとき、どんな選択をする人なのかを、少しだけ知った気がします。

YAMAPの記録はこちらです。

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